NHK「広がる顔識別装置 運用に必要なことは」
www3.nhk.or.jp/news/html/2017…
小林正啓弁護士は今回の札幌のケースについて「個人個人の顔写真を記録するのではなく、カメラの前を通り過ぎた人の年齢や性別などの属性を抽出するものなので、本来、個人情報の問題は発生しない
—
鈴木正朝 (@suzukimasatomo) March 26, 2017
少なくとも顔の映像情報を取得する段階で、「個人情報」の取得が問題となる。特徴量情報がひとりひとりの識別に使われずに性別、年齢の推定に使われるとしても、それは全体システムと最終成果物等運用の確認を経てわかるもの。その確認が行われるしくみ、ガバナンスが機能していなければならず・・・
—
鈴木正朝 (@suzukimasatomo) March 26, 2017
・・・本人に対しては、本人にカメラ(隠しカメラ含む)を向けた段階で、実施主体側に説明責任が生ずると解していかねばならず、プライバシーの権利含めて現行法での法律構成含めて、立法論的対応も必要である。
—
鈴木正朝 (@suzukimasatomo) March 26, 2017
なお、「年間パスポートを使って利用する人たちの認証」に用いている場合は、明らかにひとりひとりの特徴量情報を用いて本人認証しているのであって「個人識別符号」として個人情報に該当する。
—
鈴木正朝 (@suzukimasatomo) March 26, 2017
両者の違いは情報システムと運用全体を評価してはじめてわかるもの。本人にカメラ(隠しカメラ含む)を向けるという外形を捉えて一定の法的規律が入らねば、その適正運用を担保しきれるものではない。事前に本人に告知され回避可能性が担保されるべき。少なくとも取得時に個人情報となる解釈は妥当。
—
鈴木正朝 (@suzukimasatomo) March 26, 2017
パスポートのようにICチップに記録された情報とそこを通過しようとしている本人の顔とをその場で比べて本人であることを認証するケースは許容されている。実施主体が明確で、目的が正当であり、目的に照らして手段が妥当であって、社会的に許容されるものは利活用していくべき。
—
鈴木正朝 (@suzukimasatomo) March 26, 2017
要するに、利活用を推進していくためには、当然に新たな技術に応じたリスクを評価、認識し、それが正当な範囲にあることを公的に確認し担保し得るガバナンスの構築をセットにすることである。規制緩和のみが解ではない。新設された個人情報保護委員会をいかに活用していくかが肝となるように思う。
—
鈴木正朝 (@suzukimasatomo) March 26, 2017
そうした意味においても2000近い自治体単位に、こうした情報の規律をバラバラに対応していくことの問題に気づくべきで早急に対処していかねばならない。モデル条例で統一を図る弥縫策を容認しているようでは、世界最先端のIT国家は100年先でも見据えているような寝言になってしまうだろう。
—
鈴木正朝 (@suzukimasatomo) March 26, 2017
また、「利用者の不安」といった理解でごまかして、法的検討と対応を回避していくようでは、記名式Suica履歴データの無断第三者提供事件の二の舞である。あれもメディアの多くは「利用者の不安」という穏当な表現で本質に迫ることができなかった。役所も某審議官以外はみな明言を回避してきた。
—
鈴木正朝 (@suzukimasatomo) March 26, 2017
本件のような顔識別システムの案件を、判例に照らしてという表現で評価することの危険性にも留意しておくべき。数例を除き過去の判例に顔識別システムは存在せず、引用する判例の多くは防犯カメラ事案であろう。両者を同質的であることを前提とした法的評価は、問題の本質から遠ざかるリスク濃厚だ。
—
鈴木正朝 (@suzukimasatomo) March 26, 2017
さて、性別や年齢を推測するセンサーに用いるカメラの何をどこまで法的に規律していくべきか。現行法では個人情報の取得として拾わざるを得ないが、今後の立法政策としては、個人情報保護法本来の法目的を明確化し、こうした新たな脅威には別途の法律で対応することも視野に入れて検討すべきだろう。
—
鈴木正朝 (@suzukimasatomo) March 26, 2017
行政の調査や確認が入り得る時期はカメラ設置時またはその前後となろうが、個人情報保護法上は、本来は映像情報そのものや特徴量情報生成時よりも、特徴量情報をひとりひとり識別できるよう体系化・検索可能化した時点こそ本来的な規制ポイントというべき。そこを中心に考えれば過剰規制も回避し得る。
—
鈴木正朝 (@suzukimasatomo) March 26, 2017